ボンバの話1
~うふふっ。今日もどか~んと一発行ってみようかしら。~

むかしむかしあるところに、うさぎのこどもがいました。

うさぎのこどもは巣穴の中で、ひとりでふるえていました。 父さんうさぎも、母さんうさぎも、兄弟うさぎたちも、穴の外にでていったきり、かえって来ません。 穴の外にはきつねがいて、うさぎが出て行くと、ぱくりと食べてしまうのです。

うさぎは思いました。 なぜ、うさぎは弱いのだろう。なぜ、きつねに食べられてばかりなのだろう。 ああ、強くなりたい、強くなってきつねを倒したい。

すると、"声"が聞こえました。

『きつねを倒す方法を教えてあげる代りに、私の願いを聞いてくれますか。』

うさぎは、はいと答えました。

それからしばらくして、うさぎは穴の外に出て、新しい穴を掘るようになりました。 "声"のお願いにしたがって、穴の中には、爆弾をいれておきます。 不思議なことに、爆弾は念じるだけで手の中に生み出すことが出来るようになりました。

きつねは爆弾でいちころです。 ううん、くまや人間だって、どか~んと一発です。

ときどき、うさぎは思います。 あの"声"はだれだったのだろうか。いや、なんだったのだろうか。

でも、まあいいか。きつねよりつよくなれたし。 もう、私をおそってくるきつねはいない。だって…。

そう、今はもうか弱いうさぎではない。 そんな今の姿は、大好き。 もう、巣穴には入れなくなってしまったけれど。 それは仕方のないこと。どか~んとすれば、わすれられるわ。